経営者の方:今期は赤字だな。この場合当然税金も払はなくていいんだよね?
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
・赤字でも税金を払う場合
公認会計士・税理士のみつざねが解説します。
結論から先にお伝えすると、消費税、法人住民税の均等割り、外形標準課税などの税金は赤字でも税金が発生する可能性があります。
また、財務会計上は赤字でも、税務会計上は利益になることもありますので、この場合も税金がかかります。
財務会計と税務会計の違いで利益に差が出る
財務会計の場合、保守主義の原則で当期に関連して将来発生することがわかっている費用はなるべく早めに計上しておこうというスタンスです。
一方で税務会計の場合、債務が確定していない見積もり費用なんかを費用にしてしまうと利益が減って税金も減るんだからそんなのは認めないようというスタンスです。
決算書は財務会計でできていますが、確定申告書は税務会計でできています。
なので、財務会計上は赤字だけど、税務会計上は利益がでて税金もかかってくるというケースもあります。
ただ、規模の小さな会社の場合、財務会計を税務会計に合わせているところが多い思います。
なので、その場合あまり差は出てきません。
消費税は赤字でも生じるので要注意
ここは結構抜けがちなところなので、今回一番大事なところかなと思います。
法人税なんかは、利益がでてないからかからないというのは、わかりやすいんですが、消費税は違います。
消費税は簡単に説明すると、取引先から預かっている消費税から自分たちが既に支払っている消費税を差し引いて、国に納めるものです。
預かった消費税ー支払った消費税=国に納める消費税
預かった消費税は売上に含まれている消費税の事ですね。
支払った消費税は自分たちが仕入れたものや、経費として既に払った中に含まれていた消費税の事ですね。
なので、赤字なら国に治める消費税もマイナスじゃないかとなりそうですし、そういうケースももちろんあります。
ですが、飲食店など人件費の割合が多い事業者の場合、赤字でも預かった消費税の方が大きくなる場合があります。
それは、給与には消費税がかからないからです。
大事なので、もう一回言いますが、給与には消費税がかかりません。
なので、例えば以下のようなケースもありえます。
売上3,000万円(税抜) | ①預かった消費税300万円 |
経費1,500万円(税抜) | ②支払った消費税150万円 |
給与2,000万円 | ③支払った消費税 なし |
損益 ▲500万円 | ①ー②ー③ 150万円 |
この場合、赤字なので、法人税は発生しませんが、消費税は150万円発生しています。
消費税の場合金額も大きくなりやすいので、注意しておきましょう。
法人住民税の均等割りは毎年出るので覚えやすい税金
法人住民税の均等割りは利益に関係なく発生しますので、赤字でも当然発生します。
東京都の場合、資本金等の額1,000万円以下、従業員50人以下で年額7万円がかかります。
利益とは関係なく、会社の規模や支店の数によって増加していくので、規模拡大を行う場合には注意しておいた方がいい税金ですね。
会社の規模に変更がなければ毎年一定額発生するので、覚えやすい税金でもあります。
外形標準課税は規模の大きい会社のはなし
外形標準課税は資本金1億円超の法人を対象として課税する法人事業税の制度です。
ここでは、計算方法などの詳細は書きませんが、付加価値といったものを基準とした課税や資本金等の額を基準とした課税方法があり、所得に応じで単純に税金を計算するわけではないため、赤字でも税金が発生する可能性があります。
資本金1億円超の会社なので対象になってくる企業は少ないと思います。
まとめ
赤字になった時に税金は出ないと判断してしまい資金繰り難で払えないということにならないように、赤字でも発生する税金については覚えておくといいと思います。
特に消費税は金額も大きくなりがちなので注意しましょう。