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インボイス制度

インボイス制度が始まっても免税事業者のままでいたい人に向けて解説

光實

こんにちは、公認会計士・税理士の光實(みつざね)です。

こんな悩みを解決できる記事を用意しました!

 

記事前半では免税事業者のままでいる場合と課税事業者になる場合のメリット・デメリットについて、後半では免税事業者のまま行くかどうかの判断の仕方を解説するので、ぜひ参考にしてくださいね!

 

免税事業者のままでいるとどうなる?

インボイス制度によって今までと何が変わるの?

よくわからないし、できればこのままでいたいんだけど、という要望はあると思います。

もしインボイス制度後も取引先が今と何も変わることなく取引をしてくれれば、免税事業者に影響はありません。

特に何もする必要もありません。

実際にそういうケースもあると思います。

ただ、大多数は取引に影響がでることが想定されるので、解説したいと思います。

 

インボイス制度って?

そもそもインボイス制度って?という方のために簡単に解説しておくと、

インボイス制度は消費税の仕入税額控除のおはなしです。

消費税は以下の式で計算します。

①売上に係る消費税 ー ②仕入・経費に係る消費税 = ③納税額

 

消費税の申告をしている事業者(課税事業者)は、今まで免税事業者から仕入れても、課税事業者から仕入れても、

仕入れとして支払った金額に含まれる消費税分(②仕入・経費に係る消費税)を①売上に係る消費税から差し引くことができました。

この差し引ける部分が仕入税額控除と言われる部分です。

これがインボイス制度になると、適格請求書等(インボイス)がないと、控除できなくなります。

インボイスは、課税事業者でかつ適格請求書発行事業者として、税務署へ登録をした事業者しか発行できません。

なので、免税事業者はインボイスを発行することができません。

インボイス制度について、もっと知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ。

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取引先に影響が出る可能性がある

インボイス制度が始まると免税事業者との取引は仕入税額控除ができなくなるので、取引先の納税額が増えてしまいます。

具体的な数値を入れてみてみたいと思います。

課税事業者Aと免税事業者Bがいます。

課税事業者Aは、免税事業者Bから税込110,000円の商品を仕入れて、税込165,000円で一般消費者に販売しています。

Aを中心にした取引の流れはこんな感じです。

一般消費者 

↑商品を売り  ↓(商品代金150,000円+消費税15,000円)を受け取り

課税事業者A

↑商品を仕入れ ↓(商品代金100,000円+消費税10,000円)の支払い

免税事業者B

 

課税事業者Aの消費税納税額はインボイス制度前後で以下のようになります。

1.インボイス制度前

①売上に係る消費税(15,000円) ー ②仕入・経費に係る消費税(10,000円) = ③納税額(5,000円)

 

2.インボイス制度後

①売上に係る消費税(15,000円) ー ②仕入・経費に係る消費税(0円) = ③納税額(15,000円)

 

 課税事業者は免税事業者との取引で仕入税額控除ができなくなるため、納税額が10,000円増えています。

なので、免税事業者に直接影響はなくても、取引の相手方に影響があります。

 

免税事業者のままでいるメリット

このまま免税事業者のままでいると相手方が損をしてしまうので、課税事業者になった方がいいのか?

というとそうとも限らないので、メリットデメリットもみていきたいと思います。

 

免税事業者の経過措置がある

先ほど、お伝えした通り、免税事業者と取引をすると消費税の納税額が増えてしまうことになるのですが、

いきなり全額控除できなくなるのは、あまりにも全ての事業者に影響が大きいです。

そのため、免税事業者との取引について、経過措置が認められています。

期間 仕入税額控除割合
令和5年10月1日~令和8年9月30日 80%
令和8年10月1日~令和11年9月30日 50%
令和11年10月1日~ 仕入税額控除不可

 

制度開始後3年間は、80%控除可能で、その後3年間は50%、最後は全額控除不可となります。

具体的な数値でみると以下のようになります。

 

1.インボイス制度前(100%控除

①売上に係る消費税(15,000円) ー ②仕入・経費に係る消費税(10,000円) = ③納税額(5,000円)

 

2.インボイス制度後(令和5年10月1日~令和8年9月30日 80%控除

①売上に係る消費税(15,000円) ー ②仕入・経費に係る消費税(8,000円) = ③納税額(7,000円)

 

3.インボイス制度後(令和8年10月1日~令和11年9月30日 50%控除

①売上に係る消費税(15,000円) ー ②仕入・経費に係る消費税(5,000円) = ③納税額(10,000円)

 

4.インボイス制度後(令和11年10月1日~ 仕入税額控除不可

①売上に係る消費税(15,000円) ー ②仕入・経費に係る消費税(0円) = ③納税額(15,000円)

 

段階的に、課税事業者Aの納税額が増えることになります。

 

売上に係る消費税を納めなくてもいい(消費税の申告をしなくていい)

免税事業者の場合、売上に係る消費税を受け取っても、消費税の申告義務がないため、

売上に含まれている消費税を納める必要がありません。

また、消費税の申告の必要がないので、自分で作成する手間や税理士への依頼費用などを節約することができます。

 

免税事業者のままでいるデメリット

免税事業者のままでいるデメリットについても見ておきたいと思います。

 

取引先や売上が減る可能性がある

取引の相手先に課税事業者(消費税の申告をしている事業者)が多い場合、

相手方は、免税事業者と取引をすると消費税の納税額が今までより増える可能性があります。

なので、取引を打ち切られる可能性や、値下げ交渉などにより、売上が減少してしまう可能性があります。

 

経過措置には期限がある

仕入税額控除の経過措置は免税事業者にとって、メリットではありますが、ずっと続くわけではありません。

もちろん経過措置が延長される可能性もありますが、現時点では、6年で終了となっています。

 

課税事業者になる場合のメリット

じゃあ課税事業者になる場合は、どうなるんだろうということで、こちらについてもメリットを見ておきたいと思います。

 

取引先との関係性が継続できる

課税事業者になれば、適格請求書発行事業者の登録ができます。

登録できれば、インボイスの発行が可能です。

インボイスがあれば取引先は仕入税額控除ができるので、今まで通り取引を継続できる可能性が高まります。

 

課税事業者の利用が増える可能性

飲食店や小売店などは、一般の消費者もいますが課税事業者も多く利用しています。

免税事業者がやっている飲食店だと、インボイスがもらえません。

なので、インボイスの発行できる飲食店などを利用しようということは当然想定されます。

ということは、インボイスを発行できる飲食店や小売店は課税事業者の利用が増加する可能性があります。

インボイスとそうでない請求書等の見分け方ですが、適格請求書発行事業者は登録番号を税務署から付与されます。

インボイスを発行する場合、登録番号を領収書等へ記載する必要があります。

免税事業者の発行する領収書等にはこの番号がありませんので、インボイスかどうかはすぐに判断できます。

適格請求書等(インボイス)についてもっと知りたい方は、こちらの記事を参考にどうぞ。

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課税事業者になる場合のデメリット

課税事業者になる場合のデメリットは、基本的に免税事業者のままのメリットと同じです。

 

納税義務が生じる

課税事業者になるわけなので、当然納税義務が生じます。

免税事業者であれば、納める必要のない売上に係る消費税を納める必要が出てきます。

ただ、その場合も全額ではなく、仕入・経費に係る消費税は売上に係る消費税から控除できます。

 

消費税の申告書の作成が必要になる

自分で作成する場合、今までよりその分の時間が余計にかかります。

また、税理士に依頼する場合は、追加で費用がかかってしまいます。

 

課税事業者(適格請求書発行事業者)になるかどうかの検討方法

免税事業者及び課税事業者のメリット・デメリットはわかったけど、じゃあ自分はどっちになるべきなの?

という方もいると思います。

なので、どっちに行くかの判断は3つの視点から検討するのがおすすめです。

①取引先のメインは事業者か一般の消費税者か

②売上に与える影響はどの程度か

③消費税の納税額はどのぐらいか

 

順番に解説します。

 

取引先のメインは事業者か一般の消費税者か

免税事業者は、インボイス制度が始まっても、直接的には影響ありません。

ただ、取引先に課税事業者が多い場合、相手は仕入税額控除ができなくなるので間接的に影響が生じます。

まずは、自身の取引先が一般の消費者なのか、それとも事業者が多いのかを考えましょう。

一般の消費者が多い場合には、免税事業者のままでも影響は少なくなります。

逆に、事業者が多い場合には、インボイスを発行してほしいという要望が多くなることが想定されます。

 

売上に与える影響額はどの程度か

インボイス制度後も免税事業者のままだと、取引の停止や、値引き交渉により売上が減少してしまう可能性があります。

なので、売上の額にどの程度影響が出そうかを検討してみましょう。

これについても一般の消費者への売上が大きい場合には、免税事業者のままでも影響額は少なくなります。

 

消費税の納税額はどのぐらいか

結局、課税事業者になったらどのぐらい税金がかかるのかが、一番気になるところだと思います。

ここでは、決算書から消費税額を試算する方法をご紹介します。

原則的な方法簡便的な方法をご紹介しますが、納税額が有利になる方で判断しましょう。

あくまで、概算ですので、その点ご留意ください。

 

原則的な方法

消費税の原則的な計算方法で試算する場合、計算方法は以下のようになります。

 

売上高×10/110(※1)ー(売上原価+販管費-消費税を含まない費用(※2))×10/110=納税額

(※1)軽減税率対象品がほとんどの場合は、8/108を使用してください。

(※2)給与、租税公課、法定福利費、保険料など消費税の含まれていない費用を控除

 

簡便的な方法

課税売上高が5,000万円以下の事業者は簡易課税の選択ができます。

簡易課税を選択した事業者は原則的な計算方法に代えて、簡便的に消費税を計算することが認められます。

具体的には、まず売上に係る消費税を計算します

それをもとに各業種で決まっているみなし仕入率を乗じることで、仕入・経費に係る消費税を概算で計算します。

試算する場合の式は、以下のようになります。

①売上高 × 10/110(※2) × みなし仕入率(※1)=仕入・経費に係る消費税
②売上高 × 10/110(※2) ー 仕入・経費に係る消費税(①) = 納税額

 

(※1)みなし仕入率
卸売業:90%、小売業:80%、製造業・建設業等:70%、飲食業等:60%、サービス業50%、不動産業:40%

(※2)軽減税率対象品がほとんどの場合は、8/108を使用してください。

 

まとめ

まとめます。

ポイント

・インボイス制度は、免税事業者に直接的な影響はない

・免税事業者はインボイスを発行できないので、取引の相手方に影響がある

・間接的な影響により、取引停止や値引きによる売上減少が生じる可能性がある

・どちらに進むか判断に悩む場合、3つの視点(取引先、売上、納税額)で判断する

 

インボイス制度後も免税事業者のままいくのか、課税事業者になって適格請求書発行事業者の登録をするのか、悩ましい所ですよね。

納税額については、一番気になる点だと思います。

今回紹介した計算方法でざっくり計算可能ですが、やっぱり難しい、判断に迷うなどあれば、身近にいる税理士でも構いませんので、ご相談してみるのもいいと思います。

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